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ゴーン、ゴーンと音が鳴り響く。
あ、もうそんな時間なんだ。
「僕そろそろ帰ります。ありがとうございました」
挨拶して僕は店を出た。
この地方では日没する前に鐘が鳴る。
時間でいうと、日没20分前かな。
時計がなくて時間の概念がまだない世界なんだけど、日読みという仕事している人がいる。
日読みはだいたいの時間を知らせる仕事。
前世の世界では絶対時間の人はいないと思われていたけど、この世界では地域毎に50年に1人生まれてくる。
加護みたいなギフトらしい。
ぶっちゃけサヴァン症候群みたいな能力だ。
これはこの世界を創造したデメテル様の意向。
子供の頃初めて文字を学ぶのに必ず神話をもじった絵本を覚える。
その中に絶対時間を持つ人が生まれてくるようになっている。
良く血筋とかで…とかファンタジー世界にあるあるな先祖返りとかではなく、正真正銘ランダム。
これは面白いなと思った。
血筋とかで生まれてくるなら分かりやすいけどその分優劣が出来る。
貴重な能力だから、独占しようとかズルい人間になってしまったり周りに利用されたりと想像しやすい。
だからこそ、地域の象徴として存在する。
時間が正確に人々が認識出来るようになると色々と時代が進んでしまう。
デメテル様は時代を進めたくはないように思う。
日読みの人は1代限りの象徴、唯一無二の存在となり義務付けされる。
何事にも優先順位が上になる。
もちろん貴族や領主よりも。
人生縛られる分誰よりも優先されるんだ。
あ、でも結婚して家庭はもてるけどね。
過去に日読みが出ている家系は著名人扱い。
勇者英雄とか王族貴族じゃないからただただ、すごいねぇ~で終わるだけ。
きっと飲食店だったら有名人が来てサイン貰って飾るようなもんだ。
ミシュラン星貰うようなのではない…多分。
加護、スキル、魔法。
この世界にそんなファンタジー要素、本当はない。
んでもって唯一デメテル様からのギフトと呼ばれる加護らしき能力。
これが神様からのギフトで平等に贈られる能力ならば、人々は感謝し大切にする。
この世界は、はっきり言って文明が進んでないから素朴とゆうか、おっとりした気質の人が多過ぎる。
欲があまり発生しないのはどんなカラクリか。
あれもこれもな前世やあるあるなファンタジーのような欲まみれな世界とは別世界。
デメテル様の創造した世界はなんとも優しい世界で自分にとって性に合ってると思うしヘイジーにはいいかもしれない。
認めたくないけど、カイロス様は案外スゴい神様なのかもしれない。
そんな失礼な事を考えながら夕日を眺めながら自宅への道を歩いて帰った。
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