親孝行

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親孝行

弟が、小学生の頃の話である。 お母ちゃんを、おぶって歩けるよというのである。 母の体重は、その頃90kg近く。 無理だべなって母は言ったけど、絶対できると弟が言うので母は一応おぶさってみた。 そしたら弟は 母をおぶって、2〜3歩、歩いた。 それだけで、母はすごく喜んで 大きくなったのぉと、弟と2人、ご満悦だった。 母の晩年、車椅子になったのだが、ベッドから 車椅子に母を移すのも、弟が1番うまかった。 1番親孝行なのは、弟だと、母はいつも言っていた。 母が亡くなって3年になる。 遺体が棺桶の中でも、おっ母起きろ起きろと泣いて揺すっていた弟。 半眼半口、今にも笑って何か言うんじゃないか?という母の顔。 1番親孝行は弟。2番は妹。一緒に暮らしている私は?と効くと、あら、いたんだがって。介護に入っているヘルパーさんと笑った。 お母ちゃん。 ありがとう。 とっつぱれ。
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