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私の口から放たれた言葉。
本心なのかそうじゃ無いのか。
どちらの想いも存在してるのは本当だった。
でも側に居れば、顔を見れば見る程辛くなる。
好きになったそれだけで毎日がこんなにも乱される。
こんな風になるのならずっと一人で良かったんだ。
「…はっ?」
こちらを振り返る。
「お前何言ってんの?」
呆れ顔の秀也君は少し怒っている感じでこちらに引き返す。
「元の関係になりたいの。」
「はぁ~。お前…何か最近変だったよな。」
由紀乃さんの一件から余所余所しくなってしまった私を秀也君は気づいていたんだ。
全く感じて無いのかと思っていたからそこの部分の気持ちは埋まったけどでも、そんな簡単にすんなりと想いは変わらない。
「そうだよ。変だったよ私。」
「自覚あるんだな。何で?」
「秀也君を好きになったからだよ。」
「…?俺を好きになって、好きでいる事が原因って事?」
「私は付き合うとか初めてだし秀也君が他の人に会って優しくしたりするのに毎回戸惑って…それが普通なのかもしれないけどさ、秀也君モテるし。」
「もしかして由紀乃さんの事言ってるのか?だからこの前説明した通りだよ。彼女少し疲れてて…ほら、先輩の事と知花ちゃんも居るし。役に立ってあげたい。それだけ。」
「分かってるよ頭では。」
私はボソッと呟く。
「だったら、、」
「私。嫌な女になってきてる。この先一緒に居たら益々そうなってきっと秀也君は私の事嫌いになる。」
「まだ嫌な女とも思えて無い内から別れて納得出来ると思うか?」
由紀乃さんに対して私が今まで感じた事全てを伝えてしまおうかと頭に過った。
だけど特別目に見えて何かをされた訳でも無いのにそんな事は言えなかった。
秀也君にとっては由紀乃さんは親しい先輩の奥さん。
私が悪くなんて言えるはずも無かった。
でも由紀乃さんの存在に押し潰されそうな日々に私は秀也君から離れるという選択を選んだ。
「冗談言ってんなよ。あぁ、分かった。付き合う上でこんな事もあるって付き合っていけば良いんだよ。本当に由紀乃さんに対して特別な感情は無いし。お前が嫉妬?したのが俺的にはちょっと嬉しかったけどな。はは。」
私は手をギュッと握りしめる。
「…無いでしょ…。そんなのすんなり飲み込めて付き合える程私は簡単にいかない。」
冷めた声でそう良い放つ。
もう由紀乃さんの事言ってしまおうかと。
「お前自分の事ばっかだよな。俺の気持ち考えた事あんの?」
「え?」
秀也君は切なそうな顔を見せる。
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