春雷。

2/4
前へ
/194ページ
次へ
 春雷という響きは、私にとって青春そのものだった。  心の中に蠢く様々な感情の虫を呼び覚まし、目眩がするようなあつい夏を予感させる。  それは、自分が決めた道を歩き出す勇気、人を信じること、信じてもらえることの稀有なまでの尊さ。  そして、どこまでも人を愛することができるという幸福。    それら全てを教えてくれた、私だけの青春のおとだった。
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

286人が本棚に入れています
本棚に追加