鳴り伝う音は青春の光

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 クラスの皆のおかげで、署名は驚くほどたくさん集まった。  改めて、先生が愛されていたことを思い知る。  あとはフェイク画像だって証明することができれば。 『策があるかも』  櫻井くんの言葉を思い出し、二年生の教室へ向かった。 「おっ!春衣ちゃーん!」  たまたま廊下にいた櫻井くんが私に向かって手を振っている。  すれ違う人達はチラチラと私を見てはいるものの、櫻井くんのおかげで、前のような嫌がらせを受けることはなかった。 「合格おめでとー!」 「ありがとう!櫻井くんのおかげだよ!」  櫻井くんの嬉しそうな笑顔に、またじわりと涙が出てくる。しかしそんな暇も与えずに、彼は突然私の腕を引っ張った。 「櫻井くん!?」 「ちょっと来て春衣ちゃん!秘密結社設立するから!」 「なに!?」  廊下を走りながら、櫻井くんは振り向いてニヤリと笑った。 「……データ手に入ったよ」  …………まさか。  本当にそんなことができるなんて……!  辿り着いたのは保健室。  思ってもみなかった場所すぎて、ポカンと口を開けながら入室すると。 「……お疲れちゃん」  いつものようにデスクに足をのせながらフェイスマッサージをしているモモ先生。  かなりのローテンションで、声のトーンもいつもより五段階くらい低い。  状況が飲み込めずに、とにかく先生に頭を下げると、櫻井くんに促されるまま椅子に座った。  そして…… 「これ、例のブツ」  モモ先生は鮮やかな赤いネイルが映える美しい人差し指と親指で、USBスティックをつまみ私達に見せつけた。 「もしかして……」  フェイク画像のデータ!?  でもなんで、モモ先生が…… 「教頭を色仕掛けで落として、秒でゲットよ。ちょろすぎて犬の糞ほどにもなりゃしないわ」 「モモちゃんカッコいー!!」 「どうして……」  固まってアホ面を晒している私を、モモ先生はふんっと呆れたように一瞥した。 「モモちゃんと俺、ネトゲ仲間なんだ!この人結構その道のエキスパートだからさ、力になってくれるんじゃないかって」  櫻井くんの説明に、またもや緩んでいく涙腺。  モモ先生まで、助けてくれるなんて…… 「……ありがとうございます……ホントに……ありがとうございます」 「……別に。あんたの為じゃない。香住先生があんたなんかとキスするなんて事実に耐えられないだけよ!さっさと暴くわよ!そんであたしと香住先生の新たなフェイク作る!」  イライラさせながら、モモ先生は自身のピンクのノートパソコンにUSBを差し込んだ。
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