鳴り伝う音は青春の光

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 慣れた手つきでモモ先生はマウスを操作し、あるソフトを起動させた。  素早く例の写真を読み込むと、解析ボタンをクリック。  10%、20%と、だんだん増えていくメーターと『解析中』の画面を見つめること数分。  ついに『完了しました』という文字が浮かんだ。  モモ先生かそれをクリックすると出てきたのは…… 「なにこれ……」 「恋ズズ?」  恋ズズとは、数年前に流行った恋愛ドラマだ。主人公のカップルがキスしているシーンが、なんと私達のそれと全く同じ構図だった。 「なるほど。これにあんたらの写真をあてがったワケね」 「こんな簡単なことでフェイクって作れるんだー。最新の技術スゲー!!」  私は勢いよく立ち上がり、改めて二人に猛烈に頭を下げた。 「ありがとうございます!!これで……これで先生の潔白証明できます!」 「……そうかなぁ?」  しかしモモ先生は、恐ろしく冷静な声で言った。 「そうすんなり、あの連中が撤回なんてするぅ?なんとでも言いくるめられんじゃん」  確かに、モモ先生の言う通りだ。  この検証自体信じないと、まともにとり合ってくれないかもしれない。  だけど私は信じる。  校長先生達が、先生のことを信じてくれるって。  今までの雷斗先生が、どれだけ生徒達のことを大切にしてきたかを、思い出してくれると。  だって先生は、聖人君子だもの。 「……きっと、大丈夫です」  真っ直ぐに二人を見つめると、二人も力が抜けたように笑っていた。
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