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____「春衣ー!合コン行こっ」
新しく出会った大学の友達に、意気揚々と誘われるけれど、私は苦笑いをして首を横に振った。
「バカ!春ちゃん、彼氏いるって言ってたでしょ!」
「それもくっそイケメン!鬼イケメン!」
「顔だけで三杯飯食える的な!」
皆におちょくられながら、私だけ次の停車駅で電車を降りた。
私の家からは三駅ほど手前の、特急は止まらない小さな駅だ。
駅前のスーパーでたくさんの食材を買い込んで、ある場所に向かっていた。
……向かっていた、途中。
「先生ー!一緒に帰ろうよー!」
「ごめんな。先生、今日だけは大事な用事があるんだ」
「ええー!ライライ、まさかデートぉ!?」
「いや、その……あれだ」
「小4のうちら相手にリアル照れしないでくんない?」
「ライちゃん可愛い!」
小学生相手にも、あの頃と全く変わらない先生を発見し、私は後ろから笑いを堪えていた。
このまま一年前みたいに、尾行してみようか?
久々に邪神様が降臨しそうになるも、すぐに気づかれてしまった。
「……緑川!」
振り向いた先生が、満面の笑みで手を振る。
「えー!お姉ちゃんが彼女ぉ?」
「ぱっとしないなー」
「これならアユミの方がマシじゃなーい?」
苦笑いをしながら、可愛い女子達に手を振った。
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