新見奏太

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「ところで、アンディーって何?このアンドロイドの商品名?」 「いや、違う。アンディーは、莉緒ちゃんがつけたんだ。仕事の度に他人になるから、せめて親しみやすい名前でよんでやってくれってさ。天才だけど女の子なんだなって思ったよ」 「ふぅん。かわいいとこあるじゃん。でも、なんでアンドロ…アンディーを家に連れて行くんだ?家の中にカメラを設置して、兄さんのデーターを取ればいいんじゃないのか」 「全身まで変化させるようにしたせいか、この機種だけ少し調子が悪い。データー入力の際に、実際にはない性格が入り込んでしまうから改良が必要なんだ。僕の傍にアンディーを置いて、直接アンディーのアイ・カメラと内臓された頭脳を使って僕の行動パターンや性格を分析させた方が、バグが少ないんだ」 「ふぅ~ん。そういうこと。俺が電気系統見てやるよ。その前に兄貴の顔がどうコピーされるか見てみたいんだけど、それだけ今からやれる?」 「ああ。まだ接続機材の電源をオフにしていないから、やってみよう」  研二が横たわったアンディー左の腕を上げて脇を押すと、上腕の皮膚が割れ、中からコントロールボックスが出てきた。通常はリモコンで操作するのだが、このアンディーは調子が悪いので直接入力をする方がいいと研二が説明をしながら、アンディーの上体を起こして座らせる。 「僕の名前は新見研二。今から僕の顔と声をコピーしてくれ」  コマンドを出すと、研二はアンディ―の前で眼鏡を取って暫く静止した。  アンディーの瞳が動く。内臓されたカメラで顔のパーツの比率を計算しているのが、傍らに置かれたモニターに数字として表され、立体的な三次元構成画が、等間隔に並んだ線で描かれていく。肉眼では気が付かないほどの細く小さな笑い皺の跡までがラインと数字で表されていた。 「もういいか?横を向こうか?」 「そうしてください。二十秒ほどでスキャンできますので、次は後ろ、また二十秒したら反対側の横を向いて一回りしてください」 「分かった。声はばっちりだ」
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