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「まずは、このアンディーのバグは外部受信したことを上手く頭脳に伝達できないために起こったことと仮定するよ。だから、兄さんはアンディーにダイレクトに自分の顔を読み取らせた。でも、直接データーを入れる場合、前のデーターを削除しないといけないことを知らなかった俺は、兄さんをコピーしたままのアンディーに自分を複写するようにコマンドを出してしまった。ここまではいいね?」
「ああ。その通りだ」
「兄さんがさっき言ったけれど、アンディーは人間に危害を加えないようにプログラムされているんだよね?俺がここに入ったのはそれが原因の一つだと思うんだ」
研二が怪訝な顔で、奏太の入ったアンディーを見つめる。研二の眼鏡のレンズに映っているのは、奏太の考えを語る兄の顔を模したアンディーだ。自分が喋っているのに兄の唇が動くのを、奏太は不思議な思いで眺めながら続きを話した。
「人間も含め生物は電気エネルギーで生きていて、魂だとかはまだ説明がつかないものであることは兄さんも知っているよね」
「科学的に証明されてきてはいるが、それが何だ?」
「まぁ、聞いて。外部受信が上手くいかないアンディーに、俺が禁止事項である二度目の顔の複写のコマンドを出した時、アンディーの中で、受け入れと拒否がぶつかり合って磁場を作ったとする。ただでさえ不具合のアンディーが、複写しろというコマンドを被写体を取り入れることとして働きかけてしまったらどうなる?しかも俺の中の生命電気エネルギーと波長があって幽体離脱をしてしまったら?」
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