ハプニング

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「止めておけ。無茶をするな!おい、奏太!」 「アンディー。俺をコピーしろ」  今度は魂が移動する際の衝撃を上手く逃すことができ、気を失ったのは一瞬ですんだ。そして何度か繰り返して、奏太はアンディーとの連結を強固にして、自分の意思で双方の身体を簡単に行き来することができるようになった。 「あ~あ。唯一の欠点は、アンディーの顔を自由に変えられないってことだよな。これでハリウッドスターとかの顔をコピーできたら、面白いのに」 「そんなもの、マスクかぶってコスプレすれば十分だろ。贅沢を言うな。さぁ、アンディーを家に連れて帰って、今度は僕の習慣や性格を観察させなくっちゃいけない。手伝えよ」  え~っ、もう片付けるのと文句を言う奏太を急かして、研二はアンディーを専用の大型ケースに収納し、運搬用のキャリーに載せてワゴンに積み込んだ。  心臓が止まるかと思うほどの驚きと失敗はあったが、稀な体験をしたせいか、奏太は一週間アンディーを預かれることに大きな喜びを感じた。  もしかしたら、家で預かる一週間の間にまた何か新しい発見をするかもしれないと益々期待が膨らんでいく。喜色の笑みを浮かべて運転する奏太に、うろんな目を向けた研二が、余計なことはするなよとけん制したが、奏太はニヤリと笑い返すだけだ。  ところが奏太の期待に反してアンディーは、、研二の性格や習慣を学ぶどころか、電源を入れても一切動きを見せなくなってしまっていた。
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