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「初めまして。俺‥‥ぼ、僕は新見研二をコピーしたアンドロイドです」
「えっ?嘘!アンディーなの?眼鏡まで一緒のをかけてるのね。ほんとそっくり!新見さんそのものね。すごいわ」
「えっと、弟も新見という苗字なので、お…僕のことはアンディーと研二を合体させてケンディーとでも呼んでください」
バコッと音がして、アンディー、いや、ケンディーの頭が傾いだ。
いつの間にか後ろから近づいていた本物の新見が頭を叩いたようだ。
「バカか。何がケンディーだ。僕はそんな軽いジョークは言わないぞ」
「だ、だって、兄(にい)…新見さんじゃあ、表面通りの付き合いしかできないじゃないか…じゃないでしょうか?」
「僕は莉緒ちゃんとは本当に仲良くならなくていいの。あくまでも複数のデーターを入れたアンディーとの比較に必要なだけだから」
「そんなこと言ったって、アンドロイドの俺…僕には曖昧さは理解できません。比較データーを取るなら、もう一体と同様にお見合いモードで接した方がいいんじゃないの?」
「お前は、ああ言えば、こう言う。全く昔から…じゃなくて、コピーしたときから…」
「あの~~。同じ顔同志で漫才をするのは、見ていて面白いですけれど、止まらないようなので、先に中に入って見学させてもらってもよろしいでしょうか?」
莉緒が恐る恐る口を挟むと、新見もケンディーも莉緒の存在を忘れていたように、ハッとして振り返った。
「あ、ああ。ごめんね。ちょっとコメディー映画を見た後のノリでアンディーに接していたら、僕らしからぬものができちゃって……ケンディー、お前あんまりしゃべるなよ」
あははと引きつった笑いを浮かべた新見が、門を開いて莉緒を中へ通す。アプローチを玄関に向かって歩く二人の後ろから、新見の命令を忠実に守るケンディーが黙ってついてくる。背の高さはアンドロイドの方が少々高いのだが、本当に瓜二つなので、服装が同じだったら見分けがつかないかもしれない。
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