初顔合わせ

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「何か、新見さんの意外な面を見られて、得した気分です。いつもはこんなにフランクで、親しみやすい性格なんですね。あっ、普段が取っつきにくいとかじゃないですよ。仕事のパートナーである兄の妹として接してくださっているのは分かっていますから」  莉緒が親しみを込めて新見に話しかけると、曖昧に笑った新見が、笑顔同様に言葉を濁す。 「その、アンディ…ケンディーのことなのですが……まだ調整がついていない個体なので、一時間か二時間ごとに休ませる必要があるのです。その間は、もう一体の複数のデーターが入ったアンディーと過ごして頂くことになります」 「えっ?どこか悪いのですか?とても人間らしくて、アンドロイドということを忘れてしまいそうになるほど、素晴らしいできだと思いますけれど」 「ええ、より人間に近づけるために、開発中なのです。ゆくゆくは人の身近に置いて、家事や介護に適するヒューマノイドロボットを作るつもりで、人の喜怒哀楽や行動パターンを学ばせるためにに、色々な人間からデーターを集めているのです。一般化するには資金が必要なので、まずは資産家を相手にお見合い代行ロボットとして、資金繰りとデーター収集を両立させるつもりです」 「さすが、新見博士!私も大学を卒業したら、ヒューマノイド・テクノロジー・ラボに入れて下さい」 「大学院も行かれるのでしょう?まだまだ先の話だから、もっと興味を持つ就職先が現れるかもしれませんよ?またその時に興味があったら、お兄さん経由でおっしゃってください。今のところ、弟の奏太もラボには入る気でいるので、実現したら兄弟同士共に仕事でタッグを組むことになりますね。後で奏太を紹介しますね」 「はい。楽しみにしています。弟の奏太さんは新見さんと似てらっしゃるのですか?」  玄関ホールで靴を脱ぎながら莉緒が尋ねると、ドアを閉めていたケンディーがなぜだか振り返ってこちらを見る。ロボットなのに一々反応が人間的で面白いと思った莉緒は、ケンディーに笑顔を向けた。 「なんだかケンディーが答えたがっているみたいだから、お願いするわ。奏太さんについて教えてちょうだい」
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