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えっと、と困ったようにケンディーが新見の顔を窺う。
何だろう?弟は答えられないほどの問題児だから、しゃべっていいか新見の確認を取っているのだろうかと莉緒は注意深く一人と一体の顔を交互に観察した。
新見が頷くと、ケンディーがホッとしたように頷く姿が親子や兄弟みたいで面白い。
莉緒よりも二十センチほど背の高いケンディーが、莉緒の隣に並んで靴を脱ぎ、リビングで話そうと誘う。
言葉使いもフランクだが、新見が脱いだ靴はきっちり揃っているのに、ケンディーの靴が片方だけ少し傾いているのが気になった。
「性格は完全にコピーされるわけではないのですね?」
莉緒の視線を見て、何を意味しているのかを悟り、新見が慌てたように言い訳をした。
「この家は昔の様式だから上がり框(かまち)が高いのです。今回のアンドロイドは、部屋の中で使用する予定だったので、今風の段差の無いバリアフリーには対応できるのですが、これだけの段差は想定外で、バランスを取りづらかったのかもしれません。少し改良してみますね」
「あっ、いえ、室内用ですものね。この高さを片脚でバランスを取りながら、補助も無く上がれるなんて大したものだと思います。ごめんなさい。余計なこと言って」
新見が作り笑いを浮かべながら、廊下の右側にある部屋へと誘うのを見て、莉緒は神経質な女に見られたのではないかと心配になった。
その莉緒の腕を取り、ケンディーが行こうと促してくる。新見とケンディーの顔は同じでも、中身はまるで別人のようだと莉緒は思った。
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