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こみあげてくる思いをぶつける相手先は、御門違いなのは、もちろん分かっている。ただ、もう佳奈にはどうやって止めたらいいのかも分からず、溢れ出した言葉を優樹に浴びせた。
「わたしだって、精一杯がんばってるのに…
どうして…」
向かい側の席に座る優樹は、相変わらず柔らかい表情でこちらを見つめたまま、時折うなずいてくる。うんともすんとも意見を言わないのは、優樹の配慮なのだろう。
黙ったまま向けてくる柔らかい表情に、ますますイラッとしてしまった佳奈は瞬間湯沸器の如くこみあげた怒りを自分には止めることはできなかった。
「優樹になんて、わたしの気持ちは分からないよ…
分かるはずなんてないよ。
優樹はこんなこと味わったことなんてないもんね!!
もう無理かも、諦めようかな。わたしにはこれ以上できない。」
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