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ふわっと温かみのある手が佳奈の目頭から目尻の方へなぞるように涙を拭きとった。ぼやけていた佳奈の視界は、鮮明になり、そこには、いつもの優しい目をした優樹が少し困ったように微笑んでいた。
「いきなりきついことを言っちゃって、ごめん…」
"謝らないで欲しい、どうしていつもそんなに優しくするの、わたしが悪いのに。"
優樹は、佳奈の目の涙を優しく拭いながら話し始めた。
「何も見えない暗闇の中は、不安で動きたくても動けないよね…
でもさ、そこに光があれば、どう進めばいいのかが分かるでしょ?」
「ひかり?」
「そう、光!
佳奈が今、どん底で先の見えない暗闇の中にいることは俺には、分かっているよ。」
"そうだ、真っ暗闇…
わたしの写真は、毎年いい線まではいくものの大賞を取ることは叶わない…
もう、辞めてしまおうかと何度思ったことか…"
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