希望晴

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佳奈は、写真家を目指しているが、そのためにはコンテストで大賞を取る実力がないといけない。 佳奈にとって、残り一年という大学生活のタイムリミットが焦燥感を募らせていた。このまま、辞めてしまえば、一生、大好きな写真を撮るということをしないという覚悟はあった。だからこそ諦めたくはなかった。 しかし、辞めてしまった方が楽になれるという弱い思いは、優樹の前では甘えとして出てしまったのだ。佳奈の本心ではなかったが、励ましてもらおうと優樹に甘えた結果である。 「その暗闇の中にいる佳奈を導く光に、俺がなるからさ!がんばろうよ。」 そう語る優樹の目は、数々の苦悩の中、自力で生きてきた逞しい様子が窺え、優しい目つきの奥に、優しさとは対極にあると思われる貪欲な強さを感じた。 「でも、でも、優樹の光が眩しすぎて、逆に進む方向間違えちゃいそう…」
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