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6.赤と黄色と深紅のゼラニウム
5限目からの欺川は凄いものだった。
ウソの猛攻は5限目以降ヒートアップし、間茂の気持ちを焦らせたり、貶めたり、様々な効果をもたらせる。
それは、間茂にあることを決意させるに至る。
「もう嘘をつかないで欲しい.......」
正真正銘、欺川 幸へと気持ちを伝える。
「嫌だった.......?」
予想外、間茂が予想していたものとは違う、乙女らしさの感じる返答、間茂が考えるにまたウソやら何やらをして、また自分にいたずらすると思っていたが、実際の反応は全然違った為、戸惑いつつ話す。
「えっ.......うん、多少は.......」
暗い返答。
「分かった、今日でやめる.......」
それを言うなり静かに欺川は席を立ち、背中を向ける。
それを見て、何を思ったのか間茂は彼女に質問をする。
「僕のこと、どう思ってる?」
彼女、欺川 幸は答えず、聞こえたのか聞こえていないのか、分からないまま教室を去っていった。
それから時間は過ぎて、夜になる。
最低限なにも考えず、ただいつも通りに夕食やら、お風呂やら、ゲームやらをして過ごす間茂。
頭の中は、本当に空っぽである。
ただただ時間が過ぎて、時刻は23時50分。
間茂にとってはもう寝る時間。
23時55分に就寝。
そのまま眠りの中に誘われる。
そんな間茂の近く、スマートフォンが揺れる。
[好き 23:59 ]
スマートフォンの画面にメッセージが表示される。
間茂は気づくことなく、それから目覚めたのは朝の7:00ほぼジャスト頃。
目覚め早々にスマートフォンに手をかけ、電源ボタンを押すが、しかし画面は映らない。
今度はこれでもかと長押しをすると、赤いバッテリーが画面で点灯する。
諦めをして、スマートフォンを机の充電器に接続を完了。
朝ごはんを食べて、着替えをすまして、歯磨きをして、登校する間茂の当たり前な日常、せっかく充電したスマートフォンを忘れて家を出る。
今日は何かが欠けている。
何か物足りないというか、味気なさすぎる。
気づくと意識はウソ、彼女からのウソを思っていた。
それを登校しきる最後まで思いながらも、昨日のことを思い出して無いんだなと確信する。
学校に時間のゆとりをもって到着、席に着いてゆっくりする。
チャイムが鳴って朝のホームルームが始まっても、隣には空席が残っている。
欺川の存在がふと気がかりになる。
普通のごく普通の学校生活。
授業、休憩、昼食、掃除、帰宅。
玄関に入って、自室に潜り、制服を着替える。
その工程で、目にスマートフォンが映る。
朝は開けなかったことを思い出す。
長押しをして、電源がしっかりとついて。
画面は明るく点灯する。
欺川とメッセージを交換していた事を思う。
画面をなぞり少ししてから、昨日のメッセージを知る。
「嘘つかないって、言ったじゃん.......」
画面には確かに、欺川 幸からのメッセージが残っていた。
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