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SMショーはミュージカルの後だ。来週はマリアがMの役をやることになったことを思い出した。店長に嫌がってたことを言っておいてあげるなんて言っちゃったけど、デートしたことがバレているのだから言わない方がいいだろう。店長だって言うことをきいてくれるとは思えない。
マリアは赤いドレスを着て歌っている。頭には羽がついた被り物を付けている。お客さんたちがポオっと見とれているのがカウンターから見える。
「理来くん、フルーツお願い」
ジェーンに声を掛けられた。フルーツは八千円のものと一万円のものがある。それ以上は金額に合わせて作る決まりだ。
「幾らのを作ればいいの?」
「二万円だって、靖春が彼女を連れて来たの。婚約者だって。なんでいい女がいるにニューハーフに手をだしたんだろう。マリアだって私だって遊ばれたんだよ」
ジェーンがプンプン怒る。靖春は婚約者を連れて来てニューハーフと寝たことが婚約者にバレたらどうするつもりなんだろう。
理来は首を傾げながらメロンを切ったりギザギザにミカンを切ったりする。出来上がったときに店が大騒ぎになっているのが分かった。店長が慌ててボックス席に行く。理来も気になったので店内の奥に行った。
「私よりニューハーフがいいの?」
女の人が靖春に向かって大声で怒鳴っている。
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