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靖春はボックス席からカウンターに移って十二時近くになるまで店に居た。理来は靖春を見直したので厨房が暇なときチーズサラミを出してあげた。
「これ、僕からの奢りです」
「いいの?ありがとう」
理来はにっこり笑って「ジェーンとアフターに行くんですか?」と訊いた。
「ああ、さっき約束をした」
ラブホテルに行くのかな。靖春はどこまでやっているのだろう。自分とマリアがやったようなことをしているんだろうか。
「ジェーンは俺のこと一人のお客さんとしか見てないかもしれないけど俺は本気なんだ。この店を辞めさせて養ってあげたい。結婚は無理だとしても奥さんになって欲しい」
靖春はそう言って苦しそうに笑う。ニューハーフを好きになって辛いんだろうな。そう思っていたときに店内が暗くなった。ラストの音楽が流れる。ボックス席で指名されて付いていたジェーンがカウンターに来て靖春に耳打ちした。
「駐車場で待ってて。タクシーを呼ぶから」
ジェーンも靖春もだいぶ飲んでいる。タクシーでラブホテルに行くのか。
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