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「連絡が取れたら僕が会いたいって言ってたと伝えてくれ。お金の援助は要らないがバッグに大物がいたほうがいい」
マリアは首を傾げた。理来がお金を持っているとは思わなかったのだろう。
「お金、要らないの?」
「ああ、僕は一応貯金がある。マリア、着替えておいで、予定がないんだったら今日もファミレスに行こう」
理来はそう言ってにっこり笑った。マリアは「うん」と返事をしてロッカー室に行った。
駐車場でマリアを待つ。今日出掛けて帰って来たばかりだから簡単に食事を済ませたら早く帰ろう。そう思ってシートに凭れ掛かっているとマリアがコンコンと運転席のドアを叩いた。赤いロングカーディガンを着ている。理来は窓を開けた。
「乗っていいよ」
マリアは助手席のドアを開けた。
「今日は何処のファミレスに行くの?」
「この前と同じジョイフルにしよう。あそこのネギトロ丼は美味かった」
「私もいいちこのお湯割りを飲もう。枝豆をつまみにして」
理来はマリアと顔を見合わせて笑う。
車はファミレスの駐車場に着く。店内に入ると店員が忙しそうに「何名様ですか?」と訊いた。
「二人です」
「ご案内します」
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