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 九時のショータイムになった。そうだ。店長に最後のお願いもしておこうかな。さっきの様子だと大丈夫そうだ。理来はホールに居る店長に手を挙げて合図をした。店長は首を傾げながら厨房に来た。 「なんだ?」 「来週はマリアがSMショーでMをやるんですよね」 「ああ、そうだよ」 「マリアは玉を取ってないのでレオタードは着たくないんだそうです」 「ああ、マリアは取ってないんだっけ。弱ったな。この店で取ってる子は二人だけか」 「ずっとその二人がSMショーをやるって訳にはいきませんか?」 「そうだな。お客さんが飽きるかもしれないけど考えよう。玉があるのに医療用テープで股にものを張り付けるのは見ている側からでもバレバレだ」  店長は分かってくれたようだ。理来はホッとした。  壇上を見るとマリアは歌を歌っていた。澄んだ美声が聞こえる。お客さんたちがうっとり眺めている。白髪や髪の薄くなった人、ちらほらと若い子もいるが日曜日はやっぱり年齢層が高い。
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