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 車に花束や胡蝶蘭を積んでマリアを待つ。トントンと窓ガラスを叩かれたので外を見ると、マリアはジージャンを羽織って下は赤いロングワンピースだった。いつものように理来は窓を開けて「乗ってもいいよ」と言う。 「お待たせー、ジェーンと話し込んじゃった」 「すっかり仲直りしたんだね。良かった」 「うん、ジェーンね、靖春と同棲することにしたんだって。本気なんだね。あの二人」 「僕もマリアに本気だよ」  理来はそう言ってから照れくさくなってはにかんで笑った。 「ホテルは何処に行く?」 「ああ、インターのホテル街に行こうか。正直ラブホテルには詳しくないんだ。高そうな建物に入ろう。お金は勿論、僕が払う」 「泊まりだと結構するよ」 「いいよ。最後まできちんと勤めたお祝いなんだから」  マリアは笑顔で「じゃあ、出発ー」と言った。  白い外観の新しいホテルに入る。入口にボールの容器が置かれてあって中に赤やオレンジの粉が入っている。入浴剤と書かれていてジャスミンのような匂いがする。部屋のパネルを見ると三部屋が空室だった。一つはSMの部屋のようだ。 「普通の部屋でいいよね」 「うん、SMは嫌だ」  理来は微笑んで三階の部屋を選んだ。偽物の観葉植物が巻き付いている木のパーテーションの向こうにエレベーターがあった。
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