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「お風呂を溜めて来ようか?一緒に入ろうよ」
理来はそう言って立ち上がった。マリアは手を引っ張る。
「今日はたくさん飲んでるからシャワーでいい。理来くんが浸かりたいんだったら溜めて」
そうか。気が利かなかった。いっぱい飲んじゃったのなら湯舟に浸かるのはよくないな。この前もワインを飲ませてからお風呂に入れてしまった。無理させちゃったかな。
「僕もシャワーにするよ。部屋の中は暖かいし、浸からなくても大丈夫だ」
理来はソファーに身を沈める。マリアはニコッと笑って両手を理来の首に回す。そのままねっとりと長いキスをした。
部屋のインターホンが鳴る。飲み物が届いた。理来はトレーに乗った黄金色の液体とグリーンの液体を受け取った。生中とメロンソーダだ。
乾杯をするとマリアが「店を出すのに援助してくれるって人に話をしたの」と言った。
「ああ、どうだった?」
「私が出すんだったら賛成だって。理来くんのことも話したの」
理来はごくっと唾を飲む。
「何て言われた?」
「いいんじゃないかって。来週の水曜日に皆んなで会おうって決まったの。私も休みだし、懐石料理でも食べながら話したいって」
理来は身体の力が少し抜けた。でもまだオーケーを貰ったわけじゃない。水曜日まで三日あるから高円寺のライブハウスの下見にでも行ってみるか。
マリアはビールをゴクゴクっと飲んだ。グラスをテーブルに置くと目を輝かせる。
「シャワー一緒に浴びよう」
「ああ、いいよ」
理来は立ち上がってマリアをお姫様抱っこをする。マリアは男だから重たかったが体格は理来の方がいい。それでも少しよろけた。マリアは可笑しそうにして理来の首に手を回した。
「さあ、お姫様、身体を流しますよ」
「王子様、ありがとう」
二人は声にだして笑う。
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