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 月曜日になった。理来は電車で高円寺に行く。目的のライブハウスは駅から商店街を歩いてすぐの場所にあった。隣が古着屋さんだ。地下に下がる階段がある。降りると灰色の重たそうなドアが閉まっていて不動産屋の張り紙があった。『貸物件。遠藤不動産』と書いてあって地図が乗っている。ここから徒歩五分ほどみたいだ。理来は階段を上って不動産屋を目指す。 「あの物件は五年くらい空いてるんですよ。中を見ますか?」 「ええ、お願いします」  お兄さんと歩いてまたライブハウスに戻る。一緒に中に入るとちょっとしたバーになりそうな場所が右側にあって左側にステージがあった。そんなに広くない。テーブルと椅子を用意すれば三十人くらいしか入れないだろう。黒い壁に黒い床。結構古いな。でも理来は気に入った。 「また来週来ます。契約するかもしれません」 「そうですか。是非借りてください」  理来は会釈をして階段をあがった。気持ちよく晴れている。都内で住むんだから部屋も考えておいた方がいいだろう。何処に住もうか。  結局、高円寺がある中央線沿線をぶらぶらした。マリアも高円寺で働くんだから都内に引っ越すことを考えさせよう。奥さんは何て言うかな。そもそもマリアが店のママをやることを賛成してくれるのか。
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