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「知り合い?」
「ううん、奥さん」
女の人は低い背丈でオーバーサイズのトレーナーにスキニーパンツを穿いていた。子供っぽい感じがする。理来が想像していた奥さんのイメージとは違う。ニューハーフと結婚するんだから男っぽい人だと思ってた。女の人はとことこと理来の車まで来てマリアが居る助手席のドアを叩いた。マリアはウィーンと窓を開ける。
「マリア何処か行くの?」
「うん、今日は遅くなると思う」
「そう、私、これから産婦人科に行って来るから。結果をメールしようか?」
「あ、今日行くんだ。メールね、そうしてくれる?」
「うん、出来てるといいなー」
理来は会話を聞いて胸がズキンズキンとした。産婦人科だって?出来てるといいなだって?まさか子供?
「マリア、ちょっと待って、産婦人科に付いて行ってあげたほうがいいんじゃないの?」
「大丈夫、大丈夫、生理が遅れてるだけって本人は言ってるし」
やっぱり妊娠の検査なんだ。マリアとの子供だろうか。今の会話からするとそうだろう。性生活があったんだ。
「ホントに付いて行ってあげなくていいの?」
「うん、それよりドライブ行こうよ。湖に行きたい」
マリアがそう言うんなら無理やり病院に付き添わせるわけにはいかない。理来はナビを山の中にある湖に設定した。
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