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 二人は湖のほとりを散歩した。ブルーシートを敷いてシイタケを販売しているオバサンが居た。観光で来る人に山で採れたシイタケを売っているのだろう。 「大きいシイタケだな。買って帰ろうか?」 「うん」  理来はオバサンに「十枚ください」と言った。ステーキに出来るくらい大きいのであまり買っても捨てることになってしまう。 「十枚だね。このシイタケは美味しいよ。バターで焼いて醤油をかけて食べてみたらいい。頬が落ちるよ」 「それは美味しそうだな。マリア、バター焼き、作ってみれば?」 「そうだね、それくらいなら料理出来る」  理来はシイタケをビニール袋に入れて貰うと左手に持った。右手はマリアと手を繋ぐ。湖の周りを枯れ葉を踏みしめながら歩く。とても静かだ。夜のお店の騒ぎとは別世界。  暫くぶらぶらと歩くとベンチがあった。マリアがハンカチを敷く。 「ふう、山の中って寒いんだね。ジャンパーを着てくればよかった。でも空気が美味しい」  マリアが言う。理来もシャツだから寒い。早めに車に引き返してドライブを楽しんだ方がいいな。風邪をひいたら大変だ。 「少し空気を味わったら車に戻ろう」 「うん、山って癒されるね。車があると本当に便利」 「また来たかったら連れて来るよ。紅葉もまだ早いかと思ってたら始まってるし」  理来はそう言ってニコッと笑った。
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