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雪も溶けてなくなったある日、雪だるまくんは言いました。
「もう春だね……。君とはお別れだ……」
スノーはびっくりして、
「どうして? 春になったらいっしょに旅に出ようって、約束したじゃない」
と言いました。
「でも、もうぼくは、どうやらここにはいられないみたいなんだ……。本当はいっしょに行きたかったけど……」
雪だるまくんは、さみしそうに笑いました。
「いなくなっちゃうの? 雪だるまくん……。そんなのいやだよ、友達になれたのに」
泣きそうなスノーに雪だるまくんは、「こっちへおいで」と手招きしました。
スノーはいつもの夜のように、すっかり小さくなった雪だるまくんに寄りそいました。
今日の雪だるまくんは、いつもとちがったあたたかさがありました。
それは、ろうそくがポッと灯ったような、小さなあたたかさでした。
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