迷子のトナカイと雪だるまくん

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 その時、頭の上を、あたたかい風が流れてきました。 「スノー、よかったね。泣いたっていいんだよ」  風に混じって、聞き覚えのある声が降ってきました。 「雪だるまくん?」  姿は見えませんが、確かに雪だるまくんの声です。 「ぼくね、春風になれたんだ。これで夢がかなうよ! これからあちこちを旅して、いっぱいいろんなものを見てくるよ! だからまた、今度の冬に会おうね」  スノーも空に向かって、元気よく言いました。 「うん! 今度こそ、きっと約束だよ! ぼくも、君に会えてよかった!」  春風は、ひゅうっと音をたてて飛んでいきました。  スノーはそれを笑顔で見送りながら、思いました。 「雪だるまくんがこれから行くところは、きっと、あの空の向こうなんだ」
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