迷子のトナカイと雪だるまくん

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 とりあえず、今日はもう眠ることにしました。  スノーは静かに座り込むと、雪だるまくんに寄りそいました。 「ぼく、あったかいの苦手なんだよ」  雪だるまくんが、少し困った顔をしました。  でもスノーは、さらに体をくっつけると、こう言いました。 「こうするとあったかいって、お父さんとお母さんに教えてもらったんだ。ふしぎだね……。雪だるまくんは雪でできているのに、なんだかとってもあったかいんだ」  雪だるまくんは、何も言いませんでした。ただ、じっとしていました。 「なんでだろう……」  くり返しつぶやくスノーと、相変わらずじっと動かない雪だるまくんの上に、やさしい雪が静かに降り続けます……。  しばらくして、雪だるまくんがぽつりと言いました。 「ぼく、あったかいのは苦手だけど、こういうのは、わるくないや……」
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