迷子のトナカイと雪だるまくん

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 次の日がやってきました。  なんだかよく眠れたみたいです。  雪だるまくんは歩けないので、スノーはひとりで、お父さんたちを探してまわりました。  でも、お父さんたちに会えることはなく、しょんぼりして戻ってきました。  すると、雪だるまくんは言いました。 「元気をだして。今日はだめでも、いつかきっと、お父さんたちが迎えに来てくれるよ。それまで、ぼくといっしょに暮らそうよ」  それから、スノーと雪だるまくんは、毎日いっしょに過ごしました。  昼間はたくさん遊んで、夜は体を寄せ合って眠り、お腹がすけば食べ物を分け合い、ひまな時はいろんな話をしました。  歩きまわれない雪だるまくんのために、スノーは今まで見てきたさまざまなもののことを話して聞かせ、雪だるまくんを喜ばせました。  そのたびに雪だるまくんは、 「いいなあ。ぼくも広い世界を歩きまわってみたいな」 と言いました。 「じゃあ春になったら、いっしょに旅に出ようよ! ぼくが雪だるまくんをおぶって行くからさ」  スノーが元気よく言うと、雪だるまくんはうれしそうに「ありがとう」と笑うのでした……。  それはそれは、楽しい毎日でした。  そうして、スノーは少しずつ、大きくなっていったのです……。
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