迷子のトナカイと雪だるまくん

8/10

20人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
 雪だるまくんは、晴れだしてきた空を見上げながら、うれしそうに言いました。 「ぼくは、君に会えてよかったよ。だって、あたたかいことのうれしさを、知ることができたもの。君から、体とは別の、あたたかいものをもらったもの」 「『体とは別の』……?」  その時、雲のあいだから、おひさまの光がすうっと差し込んできました。  そのとたん、雪だるまくんの姿はふっと消えてしまいました。  「ありがとう」という言葉を残して……。 「雪だるまくん……溶けちゃったんだ。もう、いないんだ……」  思わず、涙が出ました。  でもスノーは、もう泣かないと決めました。  スノーが、お父さんとお母さんがこいしくなって泣いた時、いつもなぐさめて励ましてくれたのは、雪だるまくんでした……。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加