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スノーは、草が芽ばえ始めた野原を、力強く歩きだしました。
久しぶりに見た青空は、どこまでもどこまでも続いている気がしました。まだ知らない世界の入口は、きっとあの空にあるんだと、スノーは思いました。
とにかく、あの空をめざして歩いていこうと、足取りも軽やかに進んでいきました。
ふと気づくと、向こうからだれかがやってきます。なんだか見覚えのある姿です。
「ぼうや! ぼうや!」
向こうが叫びました。
「お父さん! お母さん!」
スノーは思わず夢中になって、かけだしました。
スノーとお父さん、お母さんは、広い野原の真ん中で、ひとつになりました。
「ぼうや、よかった! よかった! ずいぶん大きくなったねえ」
お母さんが泣きながら、スノーに体を寄せます。
「ずっと心配してたんだよ」
お父さんもうれしそうに、体を寄せました。お父さんとお母さんのあいだで、スノーの心は幸せでいっぱいでした。
「あったかい……」
スノーはやっぱり、ぽろぽろと涙をこぼしてしまいました。
「泣かないって、決めたのになぁ」
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