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そんな想像は間違いではなかったようだ。
王城で出迎えたトロイの腕にはいつかのドレスが用意されていた。
王も無事助け出されたようで、王城には精霊たちが戻っていた。
結局、自分は何もできなかった。ハラは皆が無事だったことを喜びつつも、浮かない顔だった。
全てはラ・ジークとモーランの計画で、自分はその中で踊らされていただけのような気がする。
スナリにそうこぼすと、
「ラ・ジークには、僕はまだ子どもなんだっていつも思い知らされるよ。でもラ・ジークだって昔は何もできなかったって言っていたよ。僕たちは僕たちにできることをしていこうよ。これからやることはたくさんあるんだ。まずはあの川に名前をつけて、橋もかけないと」
スナリの言葉にハラはようやく笑みを浮かべた。
「橋に名前をつけるなんて初めて」
「僕もだよ」
「これからどうなっていくのかしら」
「ハラはどうしたい?」
「まだ分からないわ。でもスナリの国を見てみたい」
「じゃあ船に乗ろうか」
「船で荒れ地を渡る日がくるなんて!」
「もう荒れ地じゃないよ」
ふたりの目の前には滔々と流れる大河が横たわっていた。見たことのない景色。そして未だ見ぬ未来がそこにある。
ふたりは手をつないで歩きだした。明日へ架ける橋に向かって。
~完~
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