⑳始まりの架け橋

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 そんな想像は間違いではなかったようだ。  王城で出迎えたトロイの腕にはいつかのドレスが用意されていた。  王も無事助け出されたようで、王城には精霊たちが戻っていた。  結局、自分は何もできなかった。ハラは皆が無事だったことを喜びつつも、浮かない顔だった。  全てはラ・ジークとモーランの計画で、自分はその中で踊らされていただけのような気がする。  スナリにそうこぼすと、 「ラ・ジークには、僕はまだ子どもなんだっていつも思い知らされるよ。でもラ・ジークだって昔は何もできなかったって言っていたよ。僕たちは僕たちにできることをしていこうよ。これからやることはたくさんあるんだ。まずはあの川に名前をつけて、橋もかけないと」  スナリの言葉にハラはようやく笑みを浮かべた。 「橋に名前をつけるなんて初めて」 「僕もだよ」 「これからどうなっていくのかしら」 「ハラはどうしたい?」 「まだ分からないわ。でもスナリの国を見てみたい」 「じゃあ船に乗ろうか」   「船で荒れ地を渡る日がくるなんて!」 「もう荒れ地じゃないよ」  ふたりの目の前には滔々と流れる大河が横たわっていた。見たことのない景色。そして未だ見ぬ未来がそこにある。  ふたりは手をつないで歩きだした。明日へ架ける橋に向かって。      ~完~  
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