⑲嵐か反乱か

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 ハラはすぐに行動に移した。いつまでも泣いている暇はない。  自分の中にいる精霊に呼びかける。  そこからはあっという間だった。気がつけば扉が炎に包まれていた。  兵士が騒ぐ声が聞こえてくる。扉を開けようにも炎で近付けないのだ。  ハラもしばらくは扉が燃えるのを見守るしかなかった。やがて炎は天井を這い、部屋全体に広がった。  煙に咳き込み、目を開けていられなくなった頃、数人の兵士が扉を壊して飛びこんできた。  その向こうにドロスの姿がある。 「なんてことをしてくれる……!」  ドロスの怒声を聞いてもハラは恐れることなくその目を見返した。  ハラは部屋の外へ、そして建物の外へと連れ出された。 「ここはお前の母の墓所だと言ったはずだ!火を放つなど何を考えている!」  ドロスは苛立ちに声を荒げ、もはやハラを敬う素振りも見せない。 「伯父上、今すぐマナ石を元に戻してください!」  ハラは負けずにドロスに詰め寄った。 「もう遅い。あれを見ろ」  ドロスはそう言って荒れ地を指さした。何も動くものなどないはずの荒れ地に、いく筋もの何かが躍るように動いている。 「あれは……」 「行き場を失った精霊たちが荒れ地で暴れているのだ。さぁ王女様の出番だ。今こそ王族の力を見せつけるのだ」  ドロスが何を言っているのか、ハラにはすぐに理解ができなかった。  あれほどに怒り狂う精霊をどうしろと言うのだろう。
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