⑳始まりの架け橋

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「国境壁にもマナ石が?」  人間に対して毒を持つ石、それに精霊を追い払う石。両方が使われていたとしたら……。  ハラはぞくりと背中を震わせた。 「スナリ……」  内にも外にも行けず、精霊たちはぶつかり合って渦を巻く。それは逃げ惑う姿に他ならない。 「精霊たちは怒っているんじゃない。逃げているんだ」 「どうすればいい? どうすれば救えるの?」  国境壁を壊して取り除くには膨大な人出と時間が必要になる。それによって広がる被害はどれほどだろうか。  けれど、精霊たちをこのままにしておくわけにもいかない。 「運河の計画を早めるしかない」   「でも、それじゃ水の精霊が」 「あれを見て」  スナリは竜巻の通った後の国境壁を指さした。 「壁の内側には剥がれ落ちた土が降り積もった状態だった。今、竜巻が壁伝いに進んでる。砂を巻き上げながら」 「どういうこと?」 「ラ・ジークは咄嗟に竜巻を利用することを考えたみたいだ」
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