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「国境壁にもマナ石が?」
人間に対して毒を持つ石、それに精霊を追い払う石。両方が使われていたとしたら……。
ハラはぞくりと背中を震わせた。
「スナリ……」
内にも外にも行けず、精霊たちはぶつかり合って渦を巻く。それは逃げ惑う姿に他ならない。
「精霊たちは怒っているんじゃない。逃げているんだ」
「どうすればいい? どうすれば救えるの?」
国境壁を壊して取り除くには膨大な人出と時間が必要になる。それによって広がる被害はどれほどだろうか。
けれど、精霊たちをこのままにしておくわけにもいかない。
「運河の計画を早めるしかない」
「でも、それじゃ水の精霊が」
「あれを見て」
スナリは竜巻の通った後の国境壁を指さした。
「壁の内側には剥がれ落ちた土が降り積もった状態だった。今、竜巻が壁伝いに進んでる。砂を巻き上げながら」
「どういうこと?」
「ラ・ジークは咄嗟に竜巻を利用することを考えたみたいだ」
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