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「ハルはさ、真面目に考えすぎなんだよ。」 ハイボールを飲みながらマキが言う。 馴染みの焼き鳥屋は学生時代からの行き付けの店で、もう何度足を運んだか分からない。2人で通算何百羽の鶏を平らげただろうか。 マキは俺の数少ない心を許せる友人のひとりで、ぐずぐずな俺の恋愛遍歴もすべて知っている。 「愛し愛されなんて幻想だぜ?なかなかないよ、そんなこと。」 そんなこといいながらマキは小学校からの幼なじみと来年結婚することが決まっている。 そう俺がボヤくと 「あいつとはそういうんじゃねぇの。」 とマキは笑ったけれど、俺はマキが彼女のことを誰よりも大切にしていること、心変わりだって、もちろん浮気だって一度もしたことがないことを知っている。 「相手が悲しむからとかそういうんじゃなくて、俺がアイツがいないと駄目なんだよなぁ。たぶん、生きていけない。だから絶対、浮気とかしねぇの。」 以前、ベロベロに酔った時にマキは言っていた。 そんな風に想い合える相手に、俺もいつか出会えるだろうか。 いやいや、もう俺はもう誰も好きにならないんだった。恋なんかするもんか。危ね。 「もったいねぇよなぁ、その顔とそのスペックでそんだけ拗らせてるの。」 「うるせぇよ。」
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