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「おはようございまーす……。」
オフィスには数人の社員がすでに出勤していた。と、いっても全社員の半数にも満たないだろうか。フレックスだったり、在宅勤務の社員も多い会社なのだ。
部長は……まだ来てないみたいだな。
ほっとしたのも束の間
「部長??どうしたんですか??」
入り口の方から聞こえた騒めきに、背中がヒヤッとする。
「いやちょっと、ぶつけちゃってね。」
おそるおそる振り向くと、顎から首にかけて大きな湿布を貼った佐伯部長が社員に囲まれて苦笑いをしていた。
(あぁぁぁ………)
デスクで1人、頭を抱える。あれ俺?やったの俺??
「新堂さん」
「はっはい!??」
「わっ、ごめんなさい、びっくりさせちゃいました?」
側に、驚いて目を丸くした中村さんがいた。
「いや、ごめん、大丈夫。な、何でしょう?」
「これ、午後の会議の資料です。」
「あぁ、ありがとう。」
「あの…ほんとに大丈夫?」
訝しがられても仕方がないほどに受け取る手が震えている。
駄目だ、仕事だ仕事。
切り替えてキッチリやろう。
……そんで、今日は早く帰ろう。
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