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「いやぁ~~。まさか本当にこの俺が正義のヒーローになれるなんてなぁ~~。ほら見ろよコレ、俺のフォロワーの数」
ブラックとホワイトの為に国が提供してくれた大きな家のリビングで、ブラックはソファーに寝そべりながら、今日の自分の評判をネットで確認していた。
「<ブラック様マジ推せる><マジイケメン><最高のヒーロー>だってさ。ほら見ろよホワイト」
「へぇ。凄いね」
「だろ?まぁ確かに俺は昔っからモテてたけど、ヒーローになったらさらにモテるつうかさ」
本当は国の為になんてなにもしていないブラック。
だが世間は、ブラックが人々を守るためにいつも命がけで戦ってくれていると思っている。
「ここまで有名人になったんだし、試しに動画配信でも初めて見ようかなぁ~~」
スマホを見ながら自分の人気度にずっと浮かれているブラックのテーブル前に、ホワイトは淹れたてのコーヒーが入ったマグカップを置き。自分用のコーヒーをゆっくりと口へ含んだ。
「ねぇブラック。色々気を付けてね」
「は?何をだよ」
「人間の興味や好奇心って、想像よりずっと怖いものだからさ。怪人よりも……ね」
「あぁ?なんだそれ。どういう意味だ…………よ…………」
ブラックの言葉が途切れる。
ずっとエゴサーチを続けていたしていたブラックの目に留まったのは、一つの文章だった。
<ブラックって実は、昔ホワイトのこと虐めてたらしいよ>
「んだよこれ」
『名無し』と書かれた真っ白のアイコン。
フォローもフォロワーも全くいないにも関わらず、その呟きは既に千人以上が拡散していた。
順風満帆だったはずのブラックの日常は、そこから次第に罅が入りだしていく。
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