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「とりあえずあそこに行くか。アイツも向かってる頃だろうしな」
ホワイトはいつも住民の非難の為に、ブラックよりも早く現場に着くことが多い。
それを見越してブラックもホワイトが既に到着していると思い現場に向かったが、怪人の近くにホワイトはいなかった。
それどころか住民もまだ誰一人避難しておらず。なにもせずにただジッと座ったままの怪人を、物珍しさで皆スマホやカメラで写真を撮っていた。
「チッ。アイツはなにやってんだ」
とにかく今はホワイトのかわりに住民を避難させようと走り出したブラックだが、その突如怪人の手がブラックの行く手を阻んできた。
「なっ!?」
大きな手のひらで通せんぼをしてくる怪人に、住民もブラックも冷や汗を流してその場で固まってしまう。
しかし、怪人は一向に攻撃はしてこない。
そのかわり、乾燥した大きな口がゆっくりと動き出した。
「ドウ……シテ」
「は?」
「シンジ、て、た。のに。ブラック」
ガラガラに枯れた野太い声は、泣き出しそうな声で叫んだ。
「ドウジテ、ウワキ、シダのヨォオーーーー!!!!」
「は?浮気?」
その時ブラックは、長い髪に隠れていた顔を見て思い出した。
「もしかして……沙耶さん?」
沙耶と言う一人の女性を思い出したブラックの頭上に、怪人の手が振り下ろされる。
だがその手がブラックの頭に触れる寸前で、怪人の腕が血しぶき上げながら吹っ飛んだ。
「アアァアァア!!!!」
痛みに奇声を上げる怪人。だが次はもう一本の腕を吹き飛ばされ、さらに痛みに苦しみながら涙を流すが。その頭上からは鋭い刃が勢いよく振り下ろされ。怪人の身体は一瞬で真っ二つに切られてしまった。
「ブラック無事?ごめんね遅くなって。大きな怪人だったから、武器を取りに行ってたんだ」
刀に付いた血を払い落としながらブラックの元へ駆け付けたホワイトは、腰を抜かしたままのブラックの様子に不信感を抱いた。
「ブラック。なにか……あったの?」
その後。
この怪人騒動は、大々的にニュースや新聞に取り上げられた。
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