第1話

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第1話

時は、2021年5月7日の正午過ぎであった。 場所は、今治市北日吉町にある印刷工場にて… 休憩室に男性従業員の築山宗助(つきやまそうすけ・46歳・軽度の知的障がいがある)がいた。 宗助は、給与引きの約束で注文したお弁当を食べていた。 午後から仕事がたくさんあるから、たくさん食べておこう… そう思った宗助は、キャリーに入っていたお弁当11箱を勝手に取って食べた。 宗助が勝手に取った、11人の従業員たちが注文していたお弁当である。 宗助が最後のひとはこを平らげようとした時であった。 社長さんがものすごく怒り狂った様子で休憩室にやって来た。 「コラ!!コラといよんのが聞こえんのか!?」 社長さんは、宗助の頭をグーで殴りつけた。 (ゴツーン!!) 「ワーーーーーーーーーーー!!」 宗助は、し烈な声で泣き叫んだ。 その間に、社長さんはお弁当箱を取り上げた。 宗助は『お弁当食べたい…』と言うて泣き叫んだ。 社長さんは、し烈な声で宗助を怒鳴りつけた。 「人が注文したお弁当を勝手に食べるなといよんのがわからんのか!?」 「お弁当食べたい…お弁当食べたい…」 (バシッ、バシッ、バシッ…) なおも怒り狂った社長さんは、平手打ちで宗助の顔を激しくたたいた。 「ワケの分からんこと言うな!!なにが『お弁当食べたい』だ!!はりまわしたろか!?」 宗助は、社長さんから顔がブクブクに腫れるまで平手打ちでたたかれた。 (ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…) ところ変わって、宮脇交差点付近のJRの高架下・全農のガソリンスタンドの向かいにある麺小町(ラーメン屋)にて… 宗助にお弁当を食べられた11人の男性従業員たちは、キリン一番搾りの大ジョッキとギョウザを注文して、昼間からのんだくれていた。 かれらは、職場に対してし烈な怒りを抱えていた。 かれらの職場の上司にあたる機械工の主任の男性(39歳)が愛結び(愛媛県のお見合い事業)で見つけたお相手(30歳・新都市のイオンスタイルのパートの女性)と婚約して、挙式披露宴などの準備で幸せいっぱいである。 かれらは、機械工の主任に対してし烈なうらみを募らせていた。 かれらは、社長さんに『ぼくたちに結婚相手と出会う機会をください…』と申し出た。 しかし、社長さんは『めんどくさい…』と言うて逃げ回っている。 『国がフケーキだから、お給料を上げることができん…』 『あと何日かしたら、ユウシが下りるから…』 『毎月のお給料の中からコツコツと貯金して行けば、女性が求めている理想の結婚相手像になるんだぞ。』 …などと言うて社長さんは逃げ回っている。 かれらが愛結びに申し込みたいと言うたら、社長さんは『今はころな(ウイルス)で危ないんだよ…申し込むんだったら、ころながなくなってからにせえ…』と言い返して逃げる… なのに、機械工の主任の男性には『ホーデ、ホーデ、ホーデ、ホーデ、ホーデ…』と言うて過度にえこひいきする… 社長さんからガマンを強要されたかれらは、よりし烈な怒りをくすぶらせていた。 いつになったら、オレたちは家庭をもてるのだ… 11人のかれらの平均年齢は、40・5歳だったと思う。 一番上は43歳、一番下は37歳であった。 このうち、2人が40歳の誕生日を迎える。 40歳過ぎたら結婚の条件が悪くなる… だから、早いうちに結婚したい… それなのに、社長さんは『めんどくさい…イヤじゃ…』と言うて逃げまくる… もうダメ… ガマンの限界だ… かれらは、よりし烈な怒りを込めて社長さんと機械工の主任に対する不満をぶちまげた。 「もうガマンならん!!」 「ああ、ホンマや!!」 「社長は、どこまで逃げ回る気なのか!?」 「ああ!!ゼッタイこらえへん!!」 「(機械工の主任)は嫁はんが必要だけど、オレたちは必要ないと社長が言うた…あれはどういうことや!?」 「(機械工の主任)は給料をあげておいて、オレたちは超安月給…」 「超安月給で、どうやって嫁はんを養うんだよ!!」 「ゼッタイ無理や!!」 この時、ユーセンで流れている歌は、Adoの歌で『うっせぇわ』が流れていた。 かれらの怒りは、さらに高まった。 この時、39歳の男性従業員が大ジョッキのビールを一気にのみほしたあと、し烈な怒りを込めて言うた。 「けっ、ジョーダンじゃない!!なにが天引き貯金せえだ!!」 「ああ、それは言えてらぁ!!」 「手取り5万8000円のお給料で天引き貯金なんかできんわ!!」 「まったくその通りだ!!」 「社長は、オレたちが天引き貯金した分をクソッタレのセガレに渡しているに違いあらへん!!」 「ああ、十分ありうる!!」 「オレたちは、今まで若だんなのコーユー費をかせぐために働いていたのか!?」 「ああ、今ごろになって気がついたわ!!」 「社長が若だんなを甘やかすのがいかんのや!!」 「せやせや!!若だんなの大学時代のことについては、今でも忘れていないぞ!!」 「あの時、オレたちのお給料が大きくひかれていたよな!!」 「大きくひかれた分は、若だんなの先輩がリーダーの与太応援団(つっぱり)どもがため込んだ飲食代(ツケ)に使われた!!」 「若だんなは華のキャンパスライフをマンキツして、卒業後は日本食研(キューデン)に就職した!!」 「それで、社内イチの美人と社内恋愛で結婚して一姫二太郎サンサンシで幸せいっぱいや!!」 「若だんなを甘やかしまくった社長は、ゼッタイこらえへん!!」 「ああ、その通りだ!!」 「オイ、きょう午後からの仕事はたくさんあったなァ!!」 「あったあった!!」 「それだったら、ソースケがやってくれるよ!!」 「そうだな…ソースケは、この頃チョーシに乗っているからテッケンセイサイを加えるぞ!!」 「せやせや!!」 「よーし、ほんならいっそのことヤケのみだ!!」 「オイコラねーちゃん!!一番搾り大ジョッキ追加!!」 このあと、11人のかれらは足腰がたたなくなるまでビールをのみまくった。 昼のニュースで、愛媛県の新型コロナウイルスの感染者数が速報値で過去二番目の記録をまた更新したと伝えられた。 愛媛県内の医療機関が危機的な状態におかれている… 昼1時頃に、愛媛県に出されているまん延防止措置が5月末まで再延長と対象地域が追加されたニュースが入った。 今治市と上島町と四国中央市が対象地域に追加されたことによって、愛媛県は緊急事態宣言が発令される危機にひんした。 変異種ウイルスの感染者数がさらに増加した。 『大人数の会食等は自粛せよ…』と愛媛県知事が必死に呼びかけている。 しかし、かれらの耳に愛媛県知事の深刻なメッセージは届いていない。 その上、かれらは数ヶ月前から職場放棄して勝手気ままをしていたので、勤務態度が極力悪化した。 各種当番が決まっているのに『当番イヤじゃ…』と言うて逃げ回る… お給料引きでお弁当を注文したが『ノラ犬のエサみたいなクソまずいめしなんか食えるか!?』と言うて拒否する… お給料の中から天引き貯金することも『こんなショボイ金額でコツコツ貯めろなんて無理や!!』と言うて拒否した… 社長さんも社長さんでだらしない… それが原因で、従業員さんが何人かやめた。 やめた原因は、11人のかれらの自分勝手である。 多い時には、80人の工場従業員さんたちがいたが、今現在残っている従業員さんたちは事務員さんを入れて15人である。 この時、会社は債務超過におちいる危機にあった。 同時に、宗助や機械工の主任の男性など…残っている従業員さんたちの間で不満が高まった。 いつ、空中分解が発生してもおかしくない… 恐ろしい悲劇の最初の幕が上がった。
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