戻りたくないな。

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戻りたくないな。

「サーシャ、久しぶり。」 …マスター。 「やっぱり、復活時間、早くなってませんか。」 「そーかなぁ。普通だよ。」 「普通ですか。」 マスターの復活の時間が早くなっている。 あの時の傷はとっくに治癒されたらしい。 マスターは傷の治癒の時間が早くなっている。 このままではマスターが危ないのでは。 リーシャの耳に入ったら。 「君の立場も危ないだろうね。 世界の終わりでも一緒に見れるじゃないか。 約束は果たせないけどね。」 「そうですね。 マスター、少しお話しませんか。 お仕事の方は簡単に終わったので。」 私は笑って言った。 「良いよ。じゃあ、あそこに座ろうか。」 大人しく座ればマスターは笑った。 帰れないかもなぁ。なんて思いながら息をはいた。 「マスターは何をしたいんですか。 殺して欲しいんですか、私をそちらがわに戻したいんですか。」 「どっちも正解だけど、レイ、アナ、アベルが覚えてくれているか確認したくてね。」 …確認って。 「それに君ももうすぐでしょ? お互い話をすることもなくなると思ってね。」 「地獄で会えると思いますけど。」 私の言葉を聞いてマスターは昔のように笑った。 本当に変わらない人だ。 私は正義のヒーローに属しているのにそれは仮面だって知ったら殺される気がしてる。 なんでこんなところにいるかは分かっている。 マスターと見る夢が心地がいい。 時間が止まっている感覚が癖になる。 そんな感覚はあっちにいたら味わえないから。 「ねぇ、マスター。…戻りたくない。」 その瞬間、鉛が体を通っていったのを感じた。 あ、やらかしたかも。
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