白衣と私

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白衣と私

「先生、好きです」 「そうか……」 「……それだけですか?女の子が告白してるんですよ」 「そうだな」 「どうして何も言ってくれないんですか!!」 「今月に入って何回した?」 「11…いや12回ですね」 「ちゃんと覚えてるのタチが悪いな」 ・ ・ ・ 「だいたいその告白断っただろうが」 「もう数打てば当たるの精神で言ってますよね」  「それでいいのか?女の子の告白」 「先生どうして断るんですか?」 「津上、今何年生だっけ?」 「名前で呼んでください」 「……津上」 「名前で」 「名前覚えてない」 「うちのクラス担任でしょう?」 「クラス担任がクラス全員の名前を覚えてると思うなよ」 「でも私の名前は覚えてるでしょう?」 「何だその自信は」 「普段から先生を見てますから」 「捨ててしまえそんな習慣」 「で先生、名前は?」 「……律」 「はい!なんですか先生!」 「うわぁいい笑顔……。で何年生だっけ?」 「高校二年生、火野先生担任の2年B組ですよ!」 「そうだな、高校二年生のJKと26歳の先生が付き合ったらどうなりますか?」 「幸せになれます」 「頭お花畑か。もう終わってるんだよ花見の季節は」 「そうですね…間違えました……」 「そうだな、自分の間違えを認められて先生は嬉しいぞ」 「私が幸せになれます」 「先生悲しくなってきたぞ?」 「先生今はJKっていうの古いですよ」 「今それ必要?先生の幸せをないがしろにするよりも必要?」 「別に先生の幸せはいいかなって……」 「やりたい放題で楽しそうだな」 「私今楽しい!」 「よかったねちくしょう」 ・ ・ ・ 「先生ゴールデンウィークなにするの?」 「温泉にでも行こうかな。疲れてるし、さっきから」 「先生大丈夫!?」 「さっきからって言ってんだろ、先生の目の前にいんだろうが原因がよ」 「?。あ、この猛君(たけしくん)のこと?」 「いやそれ骨の人体模型だろうが……この人体模型猛君って呼んでんの?」 「かっこいいでしょ?」 「名前負けしてるじゃねぇか」 「猛君をバカにしないで!」 「お前を馬鹿にしてるんだよ」 「かっこいいでしょ?」 「うん(どうでも)いいね」 「あっ!ごめんね!先生の前で他の男の子と仲良くして……嫉妬したよね…?」 「骨相手に嫉妬してたらこれからの人生心配になってくるわ」 「大丈夫猛君は噛ませ犬的なポジションだから」 「噛ませ犬っていうか犬の好物じゃん」 「どこの温泉行きますか?」 「なんでついて来る気まんまんなの?」 「心配だから…」 「女子高生からいたわれるほどやわな人生は送ってないわ」 「だって先生なにもないところですぐ転びそうになるし」 「いつもやる気なさそうだし」 「いつも夕御飯はスーパーのお弁当で済ませちゃうし」 「朝御飯は食べずに家でちゃうし」 「なんか心配なの!」 「オーケー、できる限り改善しよう。だがまずなぜ先生の家のことまで知ってるのか話合おうか」 「え?それは盗ちょ……なんでもないよ?」 「なんでもないわけないだろ!?え?盗聴してんの?」 「ちがう」 「なにが違うんだ」 「(24時間)暮らしを見守っているだけ」 「警備会社みたいに言っても無駄だわ!帰ったら処分するからな!」  「私の14550円!」 「まぁまぁいい値段するじゃねぇか!」 「先生の意地悪!!」 「酷い言いがかりだ……」 ・ ・ ・ 「くすん、先生今日は帰るね。また明日」 「盗聴バレた相手にまた明日って言えるの素直に凄いと思うよ」 「ありがと先生」 「褒めてないんだよなぁ」 ・ ・ ・ 「今日も疲れた。主に津上のせいで」 「俺も仕事終わらせて帰るか……」 「……………あれ?盗聴器ついてるってことは家バレてね?」
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