偽りの快感

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夫の手が私の 敏感な箇所に触れた。 いつも突然、 敏感なところに来る。 快感よりも痛みが先に来る。 濡れてない。 体も心も、 その気になっていない。 感じてない。 濡れて来ない。 瞳を閉じる。 心の中で、 あの人にすり替わる。 私の女が反応し始めた。 あの人に 触れて欲しい。 抱いて欲しい。 でもムリだった。 叶うわけない。 叶ってもいけない。 あの人には奥様、 私には夫がいる。 いけない事、 最低な事とはわかってる。 でも濡れなくなってた。 あの人はどんな風に抱くの? いけない妄想が 止まらない。 私の他のところに触れないまま、 夫が私に侵入する。 心では、あの人としてる私。 甘い声が漏れ出てくる。 夫が幾度の往復の末、 私の中で果てた。 事が済み、私に背を向けて 夫は眠る。 私が快感の代償で得たモノは 拭い切れない罪悪感だった。
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