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ずっと恋心を抱いている裕也。クラスで王子と称されている彼にはその気がないだろうということは察しているし、何より彼には幸せになってほしい。
そんなことを思っていると、裕也は『おなか減ったでしょ?』と言い席を立った。裕也は台所に向かうと冷蔵庫の中身を確認する。
「これ、おやつばっかじゃん。ははっ、ハナらしいな」
「も、もー!台所から出てよ!」
そんな指摘に、私は恥ずかしくなり顔が紅潮してしまう。
…裕也にばれたかな。
それを悟ったのか裕也は私の額にそっとキスをした。
「な、な…」
「そんな恥ずかしがるなよ。今の俺は、『恋人』の俺だろ?お、食パンあんじゃん。卵使うぞー?」
裕也はそう言い、冷蔵庫からテキパキと食材を取り出すと、何かを作り出した。
裕也、料理できるんだ。
そんなことをぼーっと考えていると、部屋中に甘い香りがふんわりと満ちていった。そして手際よく完成した料理と、ミルクをコップに注ぎ、裕也はリビングへと戻ってきた。
「お待たせ。裕也スペシャルだよー」
そう言い、裕也は私の前にワンプレートを置いた。
「フレンチトースト…?」
「そ。ハナ、これ好きだろ?」
裕也はそう言うと、フレンチトーストにたっぷりとメープルシロップをかけると、一口サイズのそれを私の口元に運んだ。私はそれに照れながらもパクリと口に入れた。
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