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1日目
「ハナ…俺は君が作った人形だね?」
幼馴染の裕也を模したその少年は目覚めると、そう私に語り掛けた。私はその罪悪感に胸を締め付けられながらも深々と頷く。
少年は自分の体をひと通り確認した後、私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「わかってると思うけど、俺は5日間で消える。それまでの間、何でもハナの望みを叶えてあげる。…『俺』に言えない望みがあるから、俺を作ったんだろ?」
確信ついた裕也の言葉に私は涙を流しながらコクコクと頷いた。
「私、裕也のことが好き。裕也にその気がないのはわかってる…だから、あなたを作った…裕也のことを諦めるために…ごめんね…」
「…そっか。この5日間、俺はハナの恋人の裕也だ。だから、そんな抱え込まなくてもいいし、甘えてもいいんだ。どんなことでも俺は受け止めるから」
そんな裕也の言葉・包容力・香りに私の気持ちはどこか落ち着いてくる。
「ほんと裕也そのものみたい…」
そんな私の言葉に裕也は笑いを零した。
「当然。俺は『裕也』の複製そのものだ。つまり体も気持ちも匂いも『俺』そのものってこと。これから5日間よろしくな」
数日前、私はとある古本屋で魔術が描かれた本を見つけた。興味本位で購入しパラパラと目を通していくと、とあるページに目が留まった。
「悪用厳禁。大切なあの人を蘇らせる方法」
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