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「シンさん!」
山田が叫んだ瞬間、シンが撥ね飛ばされた。
と、見えたが、シンは、わずかに早く到達したワゴン車のルーフに手をかけ己の体を持ち上げると、なんとそのままセダンのボンネットを駆け上がり、フロントガラスを超え――、
セダンの上を走り抜けてしまった。
「……すげぇ!」
「なんだ、今の」
思わず驚嘆の声を漏らす3人組。
だが、シンにとって遊びはここまでだったようで、止まったワゴン車のフロントガラスに、バットを振るように特殊警棒を叩き込む。
粉々に割れるフロントガラス。
それを頭から被って悲鳴をあげる運転手の男。
突然反撃に出たシンに、男たちは一瞬唖然とし、でもすぐに我に返って、
「くそっ、何やってんだよ」
気を取り直すも、遅い。
シンは風のように走って、次々と窓ガラスを割り、ボンネットをひしゃげさせた。
エアバックが作動して運転手を潰し、タイヤの空気が抜けて車体が沈んでいく。
駐車場にあった高級車が、あっという間に廃車に変わっていった。
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