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人質!?
圧倒的な強さだった。
シンひとりに誰も敵わない。
男たちの諦めにも似た絶望の空気が漂い始めた時、
「なんだよ、この騒ぎは!」
その怒鳴り声は、ツボミだ。
駐車場にツボミが来ていた。
山の夜に似つかわしくない、派手なクラクションや怒号に、様子を見に来たらしい。
ツボミは山田の姿を見つけると、大股で歩み寄ってくる。
「なんだよこれ。一体何が起こってんだ!」
山田は頭をかきながら、
「いーや、オレたちはなんも……」
苦しい言い訳を試みる。
ツボミたちを守るために、このキャンプ場の強姦魔を排除しようとしていました、なんてウソのような本当のことがバレたら、後でシンからどんなオシオキを食らうかわからない。
だけどツボミは顔色を青くして、
「パパを見なかったか。テントにもどこにもいねぇんだ」
「あーシンさんなら……」
シンは戦闘のまっただ中だ。
どう言っていいものか、少し迷った。
すると、
「パパッ!」
ツボミが叫んで、顔を横に向けた。
「あちゃー、見つかったか」
山田は困ったなと眉をひそめる。
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