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もちろん、そんな提案に、ツボミが素直に従うわけはなくて、
「さては山田、てめー逃げる気だな」
ますますギャンギャン喚き始めた。
耳が痛くなってきたので、
「あー、じゃあオタクら。この子がこれ以上キレる前に、さっさと退散した方がいいんじゃないかな」
ツボミではなく男たちへの説得に切り替えることにした。
「怒ってる間はいいけどさ。この子がもしも泣いたりしたら、きっと手がつけられなくなるぞ」
もちろん手がつけられなくなるのはシンの方で、それはこれ以上ないほどの脅しとなったはずだ。
なにせすでに、男たちの車は、ことごとく廃車にされている。
あんな風に車を壊す勢いで、自分たちが殴られたらと思うと、ゾッとする。
山田はそこに追い打ちをかけるように、
「もうすぐ警察も来るみたいだしさ」
顎で示す先には、携帯電話を持って振っている沙羅と優子の姿があった。
すでに通報済みという合図である。
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