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「ああ。ジュディ。起こしちゃったわね。おはよう。調子はどう?」
ジュディは軽く二回、首肯する。
腰丈くらいの猿、といっても体つきはほぼ人間に近い。歩行もしっかりとしていて、三、四歳の少女にみえるが、体を覆う体毛が人間とはまったく違う生き物であると物語っている。
微笑みを返しながら、サチが何かを言いかけたその瞬間、ガタン、と大きく横に揺れた。
体制を崩し、一気に壁ぎわまで飛ばされる。
「な、なに?どうしたの!」
部屋全体がまるで、横倒しのエレベーターとなって急上昇しているようだ。息苦しいほどの圧力が二人を襲う。
照明が不規則に点滅し、至るところで軋み、ケーブルがショートする。乱気流のような揺れに、ジュディをかばいながらサチは耐える。
『重力制御装置を切ります』
どこかでモーター音が止む。少し身軽になるのを感じ、壁を床にして立とうとする。重力がしだいに失われていく。
「ケビン!どうしたの!」
『フレアです。バーストの二波目が到達したようです』
「バースト?!どこから?」
『現地点から天の川銀河よりおよそ二十光年先。スーパーノヴァのフレアです。前回はガンマ線バーストがコロニーをかすめました』
「ああ。なんてこと!超新星が爆発したのね」
『はい。赤色矮星が膨張し爆発、星雲化しましたが、ガンマ線がここまで影響するとは予測できませんでした。コロニーの約七割が損傷し、今尚復旧作業中です。この船に大きな損害はなかったのですが、この……二波目』
ケビンの音声がバチンといって途切れ、ブレーカーが落ちる。軋む音が暗い室内に響く以外、全てが停止した。
間を置いて予備電源が自動的に立ち上がる。が、照明は心許なく薄暗い。モニター画面がロード中と表示される。
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