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父が亡くなったと知らせが来たのは、春の香りがほんのりとだけする夜だった。
「こう言っちゃなんだけど、あたしはもうむこうの親戚には会いたくないのよ。
悪いけど、あなた一人で行ってきてくれない?」
電話で葬儀の場所と日時を告げる母の声は、気のせいか安堵の気配がする。
離婚して何年も経つのに、これでようやく本当に縁が切れたとでも言うように。
私が小学校三年のときに両親は別れ、私はあたりまえのように母に引き取られた。
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